アスペルガーの娘は、アメリカに引っ越してきてまもなく、入学したElementary SchoolでIEPミーティングというものを行いました。その際、 娘用のIndividual Education Program(IEP)の提示を受けました。今回は、アスペルガーの子どもだけでなく、さまざまな種類の支援の必要な子どもたちが作成してもらうIEPについて、具体的にお伝えします。
IEP(Individual Education Program)について
IEP(Individual Education Program)は、教育に特別な補助や援助を必要とする子どもたちに対して、専門家が集まって作る個別の指導プログラムです。メンバーは、子どもの担任や担当教諭、学校心理士、校長など、そして保護者も含まれています。
IEPの内容は、学習面・生活面の子どもの現状を確認して、具体的な年度内の目標を定め、そのために必要な手立てを検討することです。
学習面(Writing, Reading, など)と、生活行動面(Social Interaction Skills, Self management など)などの項目内で、できることとできないことを細かく振り分けて、具体的な対策を作ります。そして、年内に数回定期的に、どれだけ目標が達成できているかを検討するためのミーティングを持ちます。
目標の例
Reading Comprehension(読解力)
まずは Reading Comprehension(読解力)についての目標と評価観点を、実際にアスペルガーの娘のIEPから転記してみます。和訳は私の残念な英語力とウェブ翻訳サービスとの共同作業の結果ですので、間違っている可能性しかありません・・・。間違いに気付いたら連絡くださいね。
Goal(目標) | Given spesialized instruction, instructional level texts supported with visuals, and adult support, (娘の名前)will use strategies to demonstrate understanding of the text (after reading). |
和訳 | 専門的な指導、視覚で補助の入った教育用テキストと大人の支援を得て、(娘の名前)は、読み終わった後にテキストを理解するための戦略を使用できる。 |
観点1 | (娘の名前)will identify and explain what is difficulty stated in the text. |
和訳 | (娘の名前)は文章中の何が難しい表現なのか、把握して、説明できる。 |
観点2 | (娘の名前)will identify and explain the main idea. |
和訳 | (娘の名前)は主旨を把握して説明できる。 |
観点3 | (娘の名前)will draw inferences and/or conclusions and make generalizations. |
和訳 | (娘の名前)は推論と結論を出し、一般化することができる。 |
上記のように、1つの大きな目標に対して、3から4個の評価の観点を作成します。年に何度か観点を通して評価を行い、娘が目標点に到達しているか確認します。英語読解力に問題があるのは娘だけでなく私もなので、書かれたことを正直きちんとつかめていません・・・。
Self Management(自己管理力)
次は、自己管理力についての目標と評価の観点を実際に見ていただきます。
Goal(目標) | Given a menu of alternative behavior choices, monitoring, alternative methods of communication, strategies/options for alternative behaviors, and frequent breaks, (娘の名前)will use strategies to identify and manage stress. |
和訳 | 別の行動の選択肢、観察、別のコミュニケーション方法、よりよい振舞い方などを手に入れて、そして頻繁な休憩を取ることで、(娘の名前)はストレスを認知しコントロールする方法を活用できるようになる。 |
観点1 | (娘の名前)will identify what is causing her stress or anxiety. |
和訳 | (娘の名前)は何がストレスや不安を引き起こすのかを理解する。 |
観点2 | (娘の名前)will select an appropriate behavior response. |
和訳 | (娘の名前)は適切な応答を選ぶ。 |
観点3 | (娘の名前)will implement the chosen strategy. |
和訳 | (娘の名前)は選んだ戦略を実行する。 |
観点4 | (娘の名前)will reflect on her choice of strategy with a staff member. |
和訳 | (娘の名前)は職員と一緒にどの戦略を選ぶのかよく考える。 |
読解力に比べれば、こちらの言わんとしていることは分かりました。ストレスや不安が沸き起こった場合の適切な対処法を多角的に学んで、それを実践する方法を身に着ける、ということらしいです。
娘が実際に受けている補助
- Note and Outline(授業内容のシンプルな概要のメモ)
- Extend Time(テストや授業内で必要な時、時間の延長を受けられる)
- Limited amount to be copied from board(黒板を写す量を制限する)
- Delete extraneous information on assignment, when possible(可能ならば関係ない情報を削除する)
- Social skills training(ソーシャルスキルトレーニング)
- Other: menu of coping strategies(トラブル時の対処方法のメニューを増やす)
ここに例として、実際にアスペルガーの娘のIPEに記載されている補助の数々を載せてみました。実際にはこういったとても細かいサービス内容が、何十項目も並んでいます。
「テストの時間延長」、というような枠組み上の補助だけでなく、「黒板を写す量を減らす」など、日本ならば先生のさじ加減で行っているような細かな部分まで、サービスとして記載されています。
学習面だけでなく、日常生活での困難に対しての「ソーシャルスキルトレーニング」なども教育内容にしっかり組み込まれています。
定期的に目標達成状況を確認
IEPで作成した目標を元に、日常の教育活動を行います。私が経験した範囲では、年に3回程度、どのくらい目標を達成できているか評価を行います。
評価した結果は、IEPミーティングなどを通して、知らされます。(IEPミーティングについては、後日詳しい記事を作成します!)
まとめ
以上、実際にうちの13歳の娘のIEPを一部開示しながら、IEPとはどんなものか解説してみました。何度も繰り返しますが、私の英語理解はあやふやなため、英語の翻訳部分がお見苦しいことになっていますが、お許しいただければと思います。
今回は実際のものを見せることに重点を置いて記事を書きましたが、IEPについての概要を、後日いろいろな視点からまとめていこうと思います。