ただのみょみょBLOG

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浄土るるさんの「鬼」を通してアスペルガーの娘と話したこと

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Twitterで流れてきた、浄土るるさんの「」という漫画を読みました。これは衝撃的な作品で、Twitter上で大きな話題になっていました。

読んでみて衝撃を受け、アスペルガーの娘にも読ませてみたところとても彼女らしい反応を示したので、それを記事にしてみたいと思いました。

いろいろな出来事や物語について、私とアスペルガーの娘とでは受け止め方が大きく違います。そのことで私は娘と通じ合えず相当前から悩んでいますし、娘の方も「誰も私を理解してくれない」と嘆いています。とりあえず、浄土るるさんの「鬼」という作品を通してぶつかった私たちの分かり合えなさについて、書いてみたいと思います。

浄土るるさんの「鬼」という作品について

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第84回小学館新人コミック大賞の青年部門で佳作を受賞した、浄土るるさんの「鬼」という作品がTwitter上で騒がれていました。

shincomi.shogakukan.co.jp

上のリンクから漫画を読むことができますので、よかったら読んでみてください。

受賞者に対する評があります。これを読むと、「鬼」という作品の全体像が見えてくると思うので、下に引用してみます。

「鬼」浄土るる(17歳・群馬県)

■花沢健吾先生
可愛いキャラクターで救いの無い残酷さ。読者を選んでしまうけど覚悟を決めて徹底的にこの方向で進んでも良いのかもしれない。トップクラスの作家は自分の個性を信じ、退路を絶って進んだ人達です。

■太田垣康男先生
これほど愛のない漫画を描くに至る作者の心情を思うと辛くなる。しかし、読者に向かって「この世界はクソだ」と伝えて溜飲を下げているとしたら、その作者の心情を私は否定する。

■浅野いにお先生
技術的な観点で言えば全てがど下手くそですが、この作品にそんな瑣末なことは求めません。最高でした。怒りに満ちた漫画です。ラストも笑うしかありませんでした。この作者が今後どういった作品が描けるのか想像つきませんし、漫画家としてやっていけるかどうかは全く保証できませんが、この規格外の才能の芽が摘まれませんように。

■石塚真一先生
ポップな絵柄と相対するストーリー。絵柄のせいかシリアスなシーンでは独特の恐怖感とリアルさを感じました。

■業田良家先生
主人公の優しさに泣きそうになり、でもその優しさも踏みにじられて胸が苦しくなった。読む方とすれば、ラストにほんの少しでも救いがほしかったけど、作者とすればこうするしかなかっただろうことも理解できる。絵も魅力的だし、17 歳でこんな作品を描いてしまうなんてすごいな。

最新の受賞者|小学館 新人コミック大賞

プロの漫画家たちを唸らせる、救いのないストーリーです。36ページの短い中で、不幸をグラデーションのように塗り重ねてくるのです。軽いタッチのイラストで、残酷な虐待やいじめが語られています。

私の「鬼」に対する感想

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このストーリーの不幸ポイントを挙げていきます。

  • 主人公の子豆は母子家庭。母が子どもを邪魔扱い、普段から虐待
  • 転校生のポンポコが即いじめのターゲットに
  • ポンポコへのいじめを止める子豆が次のいじめのターゲットに
  • 最終的に、ポンポコが子豆いじめに加担するように

転校早々いじめられているポンポコが不憫で放っておけず、何かと声をかけたり仲良くなろうとする子豆。子豆自身が母親からひどい虐待を受けているからか、不安げにおどおどしているポンポコが虐待を受けている妹に重なって見えて、どうしても気になってしまうのです。

こういう親は実際少なくないのだろうけれど、愛情も責任感も持たずに子どもをいたぶり続ける母親をみていて、私は強く不快感を覚えました。また、気軽に遊び感覚でいじめを行っているクラスの子どもたちに対して、ありがちな光景だとは思いながらも、とても不愉快に感じました。

ポンポコを救おうと積極的に動く子豆がクラスの子たちに鬱陶しがられて、子豆は最終的にいじめのターゲットにされてしまいます。そこで、ポンポコはクラスの子に指示を受けて、子豆にバケツの水を浴びせかけます。ポンポコは自分の身を護るためにいじめる側に加わったという、これもありがちな状況だと思うのですが、子豆の優しさの空回りと救われなさを思うと、私はとても悲しくなったのです。

アスペルガーの娘の「鬼」に対する反応

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アスペルガーの娘の読後の第一声は

ポンポコちゃんかわいい。子豆ちゃんを裏切っちゃうゲスさがすごく好き!

でした。

ちなみにポンポコちゃんについては、いじめられないための行動としていじめに加担したという目線はなさそうで、シンプルに「裏切りカッコいい」と思っている様子でした。

また、母親の子どもに対する虐待について聞いてみると「あんなことあるわけないからよくわからない」と、一切心に留まっていない様子でした。

ストーリーの暗さ・重さ・救いのなさについて、彼女の考えは特に何もなさそうでした。

見えている世界が違うということ

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スカッとジャパンを一緒に見ていた時のこと

アスペルガーの娘は、普段からいわゆる胸くその悪い話が大好きです。逆に正義が勝つような物語には「つまらない!不愉快!」と憤慨していることが多いです。

例えば、こんなことがありました。私とアスペルガーの娘とで、「スカッとジャパン」を見ていたのですが、ストーリーはこんな感じでした。

  • まじめに働く部活のマネージャーと、普段はサボりがちだが好きな人の前でだけ一生懸命働いているふりをするマネージャー恋のライバルに!
  • 男子部員は、グイグイ来るサボり系マネージャーのインチキさを見抜きまじめなマネージャーとハッピーエンドに!

これに対して、私はまじめな子が報われてよかったと素直に思いました。

しかし娘は「裏表のあるあざとい子が大好きだから、サボりながら好きな人にだけいい顔をする子の方がずっとかわいい。まじめな方を選ぶのは納得がいかない。見て不愉快になった。」と本気でキレている様子でした。。。

上記は一例ですが、彼女は普段から「裏表のある人」「好きな人にだけ尽くす人」「他の人を蹴落とすことができる人」に強いあこがれを持っている様子です。

かみ合わない私と娘の気持ち

 私の「鬼」への感想は、Twitterで見かける多くの感想とまあ似ている思います。それに比べて娘の「鬼」への感想は、多分少数派なのではないかと思います。

娘は映画を見たり本を読んだりしたときに、他人の感想もネットで探しているようです。そこで、自分と同じような考え方・見方をする人がなかなか見つからないと悲しんでいる様子。

私と娘が同じものを鑑賞したときには感想を語り合うのですが、かみ合わないことがとても多いように感じています。特に「公平・公正な態度」や「思いやり」について娘が否定的に捉えているとき、私は娘に対して何とも言えない悲しさや不満を感じがちです。

娘の方は、私だけでなく世の中の大多数と感覚が違うので、「誰も分かってくれない!」という気持ちを抱きがちになっています。しかも母親である私が彼女の考え方・感じ方についてよく思っていない部分があるのを知っていて、とても悲しんでいるようです。

まとめ

浄土るるさんの「鬼」という漫画を通して感じた、アスペルガーの娘と私との感想の違いと、普段から感じている私たちのかみ合わなさについて書いてみました。

彼女の「わかってもらえない、受け入れてもらえない」という悲しさについてどう対応していけばいいのかが、今の私の課題となっています。また私の方も、公平であることの良さ、思いやりを持つことの意味などを押しつけがましくならない形で娘に示していければいいのかと、ぼんやり考えているところです。